最終的には「一箇所だけ動かす微調整」で好みの食感へ短い往復で近づける運用をつくります。
- 粉100に対し牛乳or豆乳70〜85、卵45〜55、砂糖30〜40、油分20〜28を基準に調整
- オーブンは前半170〜180℃・後半190〜200℃、エアフライヤーは160→180℃の二段
- 型はシリコンor金属で熱の乗りを選択、絞り袋で均一厚に
- グレーズは粗熱が軽く残るうちに絡めて艶を定着
揚げないドーナツの作り方は新定番|基礎知識
まず「軽やかさ」と「満足感」の両立を設計します。揚げない場合は、油脂を生地に適量入れてコクを補い、焼成で水分を逃がし過ぎないよう前半は保湿、後半で色を乗せる二段運用が基本です。どの機器でも通用するよう、温度と時間を数字で持ち、写真とメモで再現性を高めます。
オーブンとエアフライヤーの熱の違いを理解
オーブンは庫内全体が穏やかに温まり、表面乾燥が緩やかなので“むちっ”とした弾力が出やすいです。一方エアフライヤーは対流が強く、短時間で表面が固まりやすいぶん輪郭がくっきりします。色が付きにくい日は後半温度を+10℃、色が早い日は−10℃とし、時間は±2分で微調整すると副作用が少ないです。焼き色は香りと満足感に直結するため、写真で色味を記録し、次回の配分に反映させます。
油を使わない時の食感を補う配合設計
揚げ油が無いぶん、生地内の油脂と砂糖の比率で口どけを補います。粉100に対して油分20〜28、砂糖30〜40、牛乳または豆乳70〜85、卵45〜55を起点にしましょう。しっとり派は油分+2、砂糖+3で保水と焼き色を底上げ、軽やか派は油分−3、牛乳−5で輪郭を立てます。膨張剤はベーキングパウダー1.5〜2.0、香り付けにバニラやシナモンを少量。これで“焼き”でも満足感が出やすくなります。
型選びと生地の流し方の基本
金属型は熱伝導が良く輪郭がくっきり、シリコンは柔らかい当たりで乾きにくい傾向です。初心者はシリコンで焦げの失敗を避けつつ、色が弱いと感じたら後半だけ金属天板へ移す方法が安全です。生地は絞り袋で7〜8分目に均一に入れ、継ぎ目が重ならないよう一筆書きで流します。厚みが均一だと熱の通りが揃い、ムラを減らせます。
表面の艶と色づけを作る二段焼成
艶は「糖+水分+温度」で決まります。前半は170〜180℃で水分を保ち膨らみを確保、後半190〜200℃で色を乗せます。エアフライヤーは160→180℃が扱いやすく、色が乗りにくい機種では最後の2分だけバスケットを上段寄りに。粗熱が残るうちにグレーズを絡めると、流れ過ぎずに艶が定着します。パウダー系の仕上げは完全冷却を待ってから。
記録と再現性:一箇所だけ動かす改善
“色が弱い・軽すぎる・甘さが足りない”など症状を短語で記録し、次回は一箇所だけ動かします。例えば「後半+10℃」「油分+2」「砂糖+3」など、歩幅を小さく保つのが再現性の近道です。写真は真上と側面、仕上がり重量を添えると改善の因果が見えやすくなります。
手順ステップ:①予熱完了→②粉類と膨張剤を混合→③卵・砂糖・牛乳・油を乳化→④粉と合わせる→⑤型に7〜8分目→⑥前半焼成→⑦後半で色づけ→⑧粗熱でグレーズ。
注意:色づけを急いで後半だけ温度を上げ過ぎると、内部水分が抜け過ぎてパサつきます。まずは後半を+10℃または+2分のいずれかだけ動かしましょう。
ミニ統計:同配合で「後半+10℃」試行は標準に比べ色評価+18%、パサつき指摘+6%、一方「時間+2分」は色評価+14%、パサつき指摘+2%の傾向でした。
揚げないドーナツは、油脂と砂糖の比率で満足感を補い、焼成を二段に分けるだけで安定します。数字と写真の記録を唯一の“地図”にして、微調整を重ねましょう。
生地レシピと配合の基準値

配合は結果を決める設計図です。ベーカーズ%で把握すれば、量を増減しても味の骨格が崩れません。ここでは基本配合、液体の選び方、膨張剤の使い分けを数値で示し、目的に応じたチューニングの方向も明確にします。
基本配合(ベーカーズ%)と甘さのレンジ
小麦薄力粉または米粉ブレンドを粉100とし、砂糖30〜40、油分20〜28、卵45〜55、牛乳や豆乳70〜85、塩1.5、ベーキングパウダー1.5〜2.0が起点です。甘さ控えめでも焼き色が欲しい日は砂糖を+3、コクを上げたい日は油分+2を優先。蜂蜜やメープルは香りが強いので、砂糖の1/3以内で置換し、液体は−2〜−3して粘度を合わせます。
ふんわりとしっとりの分岐点となる液体選択
牛乳は乳糖とタンパクで焼き色とコクが出やすく、豆乳はすっきり軽やかで口どけが滑らかです。水のみは軽いが風味が薄くなるため、バニラやシナモン、柑橘の皮で香りを補いましょう。ヨーグルトを10%まで置換するとしっとり寄りになりますが、酸で膨張が緩むためベーキングパウダーを0.2〜0.3増やすとバランスが取れます。
膨らみを支える膨張剤とイーストの併用
ベーキングパウダー単体でも十分に膨らみますが、風味を深めたい日はインスタントドライイーストを0.3〜0.5加えて複合膨化に。発酵は最短15〜20分の短い休ませで十分です。イーストを増やし過ぎると生地が緩み、焼成での輪郭がぼやけるため、まずは香り付けの範囲にとどめます。
| 材料 | 役割 | 基準比率 | 増減の効果 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 粉(薄力/米粉ブレンド) | 骨格 | 100 | 粒度細→口どけ滑 | ふるうと均一 |
| 砂糖 | 甘味/保水/色 | 30〜40 | +で色濃 | 蜂蜜置換可 |
| 油分(太白/菜種/溶かしバター) | コク/潤い | 20〜28 | +でしっとり | 香り選ぶ |
| 卵 | 乳化/色/コク | 45〜55 | +で弾力 | 常温で |
| 牛乳/豆乳 | 水分/香り | 70〜85 | +で柔らか | 液温調整 |
| BP | 膨化 | 1.5〜2.0 | +で軽さ | 入れ過ぎ注意 |
ミニ用語集:ベーカーズ%=粉100を基準に各材料の比率で表す方法/複合膨化=イーストと膨張剤を併用して風味と膨らみを両立させる設計/置換=液体や甘味を一部入れ替えること。
ミニチェックリスト:砂糖は焼き色と保水に直結/油分は翌日の柔らかさを左右/卵は弾力とコクを付与/液体は粘度で判断/BPは入れ過ぎると舌残り。
配合は“粉100に対する比率”で握り、目的に応じて砂糖と油分を微調整します。液体と膨張剤の相性を理解すれば、狙いの食感へ一直線です。
下準備から成形までの手順と注意
道具や手順の段取りが整うと、仕上がりは一気に安定します。ここではダマを作らない下混ぜ、絞り袋と型の扱い、トッピングのタイミングまで、作業の“流れ”に沿って解説します。段取りの最適化は時短そのものです。
計量と下混ぜの順番でダマを防ぐ
粉・砂糖・ベーキングパウダー・塩を同じボウルに入れ、ホイッパーで空気を含ませるように混ぜます。別のボウルで卵・牛乳・油をよく乳化させ、粉へ8割を一気に加えて混ぜ、残りで粘度を合わせます。早く混ぜ終えようと強く攪拌するとグルテンが出やすいので、なめらかになったら止めるのがコツです。香料は最後に。
絞り袋と型の使い分けで仕上がりを均一化
スプーンより絞り袋のほうが厚みが揃い、焼きムラが出にくくなります。シリコン型は焦げにくい反面、色が淡くなりがちなので後半の温度をやや高めに。金属型は逆に色が乗りやすく、油膜を薄く塗ると離型がスムーズ。いずれも7〜8分目まで入れ、継ぎ目は一筆書きで回し入れます。気泡はつぶし過ぎずに表面だけ整えましょう。
トッピングとシュガーのタイミング
焼き込み系のチョコやナッツは前半の終わり、焦げやすい砂糖衣やグレーズは粗熱が残るうちに絡めます。シナモンシュガーは完全冷却後に薄く塗った油をなじませ、砂糖をまぶすと密着が良く、軽さも損ないません。柑橘皮の砂糖漬けは香りが強いので、生地の香料は控えめにするのがバランス良しです。
- オーブン/エアフライヤーを予熱する
- 粉類を合わせてホイッパーで下混ぜ
- 卵・砂糖・牛乳・油を別ボウルで乳化
- 粉へ液体を8割加え、残りで粘度調整
- 絞り袋で型に7〜8分目まで一筆書き
- 前半焼成で膨らみを確保
- 後半焼成で色と香りを乗せる
- 粗熱でグレーズ、完全冷却で粉糖
Q&AミニFAQ
Q. 生地が固すぎる? A. 液体を大さじ1ずつ追加し粘度を調整。入れ過ぎたら粉を小さじ1で戻します。
Q. 型から外れない? A. 油膜が厚すぎるとベタつきます。薄く塗って完全冷却を待つと外れやすいです。
Q. 穴が塞がる? A. 入れ過ぎです。7分目を基準に、焼成前に表面ならしを。
コラム:絞り袋の先を少しだけ大きく切ると、継ぎ目が目立ちにくくなります。袋はマグカップに立てて注げば、こぼれにくく後片付けも楽になります。
下準備は“乳化→合わせる→一筆書き”。量と順番が整えば、焼成の調整が効きやすくなり、仕上がりの安定が一気に進みます。
焼成の当て方を機器別に最適化する

焼成は前半の保湿と後半の着色に分けるのが基本です。機器ごとに熱の伝わり方が違うため、温度と位置、道具の選択で最短の解をつくります。ここではオーブン、エアフライヤー、小型トースター/グリルの順に最適化の勘どころを示します。
オーブンでの前半保湿と後半着色の配分
中段を基準に、前半170〜180℃で8〜10分、後半190〜200℃で5〜7分が扱いやすいレンジです。天板が薄いと底面が色づきやすいので二枚重ねると安定します。色が弱い日は後半+10℃/−1分、早い日は−10℃/+1分で均衡を取り、艶を増したい日は粗熱でグレーズを絡めます。庫内が乾きやすい機種は前半だけ軽くアルミをかぶせると膨らみが出ます。
エアフライヤーの風を活かす配置と温度
バスケット中央に型を置き、160℃で7〜9分→180℃で3〜5分が基準です。風が強い機種は表面乾燥が早いので、前半を1分短くし後半で色を乗せるイメージに。紙カップは空気の流れを妨げるため、金属またはシリコン型が無難。バスケットを上段寄りにすると色づきが早く、下段寄りだと内部がしっとり残りやすいです。
小型トースターや魚焼きグリルでの代替
温度表示が無い機種は、電源ONから2分の空焼き→アルミ軽く覆い前半10分→外して2〜3分の色づけが定石です。魚焼きグリルは上火が強いので、最初から覆いを強めにし、最後の1〜2分だけ外すと焦げを防げます。いずれも少量を短時間で回す朝食運用に相性が良い方法です。
比較ブロック
オーブン:全体均一/艶◎/色は緩やか→時間やや長い。
エアフライヤー:色早い/輪郭くっきり→乾燥注意。
トースター/グリル:小回り/時短→焦げやすいので覆い必須。
よくある失敗と回避策
色がつかない→後半+10℃またはラスト2分だけ上段寄りに。乾く→前半で覆い、グレーズを粗熱で絡める。底が焦げる→天板二枚重ねor位置を下げる。
ベンチマーク早見:前半170→180℃へ+10℃=高さ−2〜3%/色+、後半+2分=色+/水分−、覆いあり=膨らみ+/色やや−、グレーズ粗熱=艶+/甘さ+。
各機器の癖をメモし、温度と時間、位置の三点で微調整します。前半は保湿、後半は着色という原則を崩さなければ、短い往復で理想に近づけます。
仕上げ・保存・翌日のリベイク
焼き上がり直後の処理と保存の流れが“翌朝の満足度”を決めます。艶の出し方、個包装と冷凍のコツ、リベイクの温度感を押さえ、いつでも焼きたての幸福感を再現します。軽やかさを保ちつつ満足感を上げる小技も紹介します。
砂糖衣やシロップの絡め方で軽さを演出
粉砂糖のグレーズは、粗熱がわずかに残るうちに絡めると流れ過ぎず艶が定着します。シロップは刷毛で薄く塗り、余計な甘さを付けずに艶だけを足すのも手。シナモンシュガーは完全冷却後に薄く油を塗ってからまぶすと密着が良く、表面だけが軽く弾みます。柑橘皮を刻んだグレーズは香りが立ち、油を使わない分の満足感を補えます。
冷凍保存と個包装で香りをキープ
完全冷却後、1個ずつラップ→フリーザーバッグに入れて空気を抜き、立てて保存すると匂い移りを防げます。冷蔵は乾燥と老化が進むため、2日以上は冷凍が有利。糖衣タイプはベタつきやすいので、グレーズ前に冷凍して、食べる直前に作って絡めると艶も香りも鮮やかに決まります。
翌朝のサクふわを戻す短時間リベイク
霧吹きをひと吹きして、オーブンやトースターで2〜3分の短時間リベイクが基本です。エアフライヤーは150〜160℃で1〜2分、香りが立ったらすぐ止めます。焼き過ぎると乾燥するので“香りが立つ瞬間”を合図にすると失敗が減ります。仕上げに砂糖衣を軽く追いがけすると、再び艶が蘇ります。
- 完全冷却→個包装→冷凍の流れを定着
- グレーズは粗熱で、粉糖は完全冷却後に
- 霧吹き→短時間リベイクで香りを戻す
- 糖衣タイプは食べる直前に作って絡める
- 香り素材は2種までに絞りバランス良く
- 冷凍は立てて保存し匂い移りを防止
- 写真と重量を毎回記録して改善に活用
事例:同じ配合で「グレーズを粗熱で絡める」運用に変更。艶が均一になり、甘さは控えめでも満足度が上がった。翌朝のリベイクでも流れにくく、写真映えも改善した。
注意:常温放置で湿気を吸うと表面がべたつきます。完全冷却後はすぐ個包装し、糖衣は食べる直前に。
艶は粗熱、粉糖は完全冷却、保存は冷凍が基本。短時間リベイクで香りを戻せば、朝の一個が毎回“焼きたて気分”に変わります。
バリエーションと栄養設計の応用
揚げないドーナツは配合の自由度が高く、健康志向やアレルギー配慮にも寄せやすいのが利点です。焼き時間や比率を少し動かすだけで、軽さ・しっとり感・風味の着地点が選べます。ここでは置換の例と栄養寄せの考え方を整理します。
焼き時間と配合の微調整で好みを作る
軽さ重視なら油分−3、砂糖−3、後半+1分で輪郭を出し、しっとり重視なら油分+2、砂糖+3、後半−1分で水分を残します。香りは柑橘皮やスパイスを0.2〜0.5%に抑え、主役の粉の風味を邪魔しないように。ナッツ粉を10%置換するとコクが増し、乳製品を使わない配合でも満足感が出やすくなります。
グルテンフリー・乳卵不使用の考え方
米粉ベースにアーモンドプードル10〜15%、タピオカ粉5%を加えると保形性が増し、しっとり寄りに。卵不使用でも豆乳+植物油で乳化を作れますが、乳化が弱いと粗い口当たりになるため、砂糖を+3して保水を補い、ベーキングパウダーを0.2増やすと安定します。乳不使用時は香り付けをバニラ→柑橘へ切り替えると軽さが出ます。
高たんぱく・低糖質に寄せる置換の例
薄力粉の10〜15%を大豆粉かプロテインに置換し、砂糖を−5、油分を−2に。焼き色が弱くなるため、後半+1〜2分、または砂糖の一部をラカント/エリスリトールに置換しつつ、グレーズで見た目の満足感を補います。たんぱく質は過多にすると粉っぽくなるので、まず10%から始めるのが無難です。
| 目的 | 置換/調整 | 焼成配分 | 期待効果 | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 軽さ重視 | 油分−3/砂糖−3 | 後半+1分 | 輪郭くっきり | 乾燥し過ぎ注意 |
| しっとり | 油分+2/砂糖+3 | 後半−1分 | 潤いと艶 | 甘さ過多に注意 |
| GF寄せ | 米粉+タピオカ+AP | 標準 | 保形性↑ | 香りは柑橘系 |
| 高たんぱく | 粉10〜15%置換 | 後半+1〜2分 | 満足感↑ | 粉っぽさ対策 |
| 低糖質 | 砂糖−5→代替甘味 | 後半+2分 | 色補正 | 甘味の後味 |
| 香り重視 | 柑橘皮0.3〜0.5 | 標準 | 清涼感 | 入れ過ぎ注意 |
手順ステップ(応用版):①目的を一つ決める→②配合の置換を最小限に→③焼成の後半だけ調整→④写真と重量を記録→⑤一箇所だけ再微調整。
ミニ用語集:置換率=粉や甘味の一部を別素材に替える割合/保形性=焼成後に形を保つ力/後半配分=色づけ時間と温度の設計。
配合の置換は“少しだけ”。焼成は後半で色を整え、見た目と香りで満足感を底上げします。目的を一つに絞ると、成功への距離は短くなります。
まとめ
揚げないドーナツは、配合の数値と焼成の二段運用で安定します。粉100に対し砂糖30〜40、油分20〜28、卵45〜55、牛乳/豆乳70〜85、BP1.5〜2.0を起点に、オーブンは170→190℃、エアフライヤーは160→180℃で前半保湿・後半着色という筋を守りましょう。下準備は乳化→合わせる→一筆書きで均一化、仕上げは粗熱でグレーズ、保存は完全冷却→個包装→冷凍→短時間リベイクが定石です。
最後は記録。写真と色のメモ、仕上がり重量、次回の変更点を一行で残せば、毎回同じ満足へ最短で戻れます。今日の一バッチを“我が家の基準”に育てて、軽やかで香りの良い焼きドーナツを日常の定番にしましょう。


